化学物質過敏症に「グルタチオン(タチオン)」は有効か?

化学物質過敏症にグルタチオンは効くのか

化学物質過敏症の症状は、グルタチオンの枯渇によって引き起こされる可能性があることが、研究によって明らかになっています。(他にもあります)この症状に苦しむ方々にとって、有効な…といいますか、そもそも飲める薬剤の選択肢は限られていますが、その中でもグルタチオン(タチオン)が一つの選択肢として挙げられます。

薬嫌いで有名なそよ風クリニックの宮田先生も、グルタチオン治療を勧めることもあるくらいです。(そよ風クリニックは2023年7月現在休診中です。)

ヤマダ

もちろん個人差はあり、合わない方もいらっしゃいます。

グルタチオンは、化学兵器のサリンなどの有毒ガスにさらされた人々にも使用されてきました。その解毒作用により、化学物質による中毒症状を軽減する効果が期待され、化学物質過敏症の方々にとっても重要な存在となっていますが、グルタチオンは使用方法に気をつけなければならないものです。詳しくみていきましょう。

もくじ

グルタチオンとは?役割は何?

グルタチオンは、体内で最も重要な抗酸化物質と解毒剤の一つであり、硫黄を含むチオール化合物で構成されたトリペプチドです。グルタチオンは、3つのアミノ酸(L-グルタミン、L-システイン、グリシン)から構成されています。

細胞内で最も重要な抗酸化物質の一つである

グルタチオンは私たちの体の中で非常に大切な役割を果たす抗酸化物質です。抗酸化物質は、私たちの体内で起こる化学反応によって生成される活性酸素という物質を中和し、体を守る働きをしています。活性酸素は、私たちの体にとって必要な一方で、過剰になると細胞や組織を傷つける可能性があります。そこで、グルタチオンが登場し、過剰な活性酸素を取り除いて体を守ってくれるのです。

グルタチオンは細胞内や細胞間液に存在し、その役割は非常に重要です。まず、グルタチオンは活性酸素と反応して中和し、無害化することができます。これによって細胞や組織をダメージから守ることができるのです。

さらに、グルタチオンはグルタチオンペルオキシダーゼという酵素と協力して働きます。この酵素は、細胞内で発生する過酸化脂質という有害物質を分解し、グルタチオンが再生される過程を促進します。これにより、グルタチオンは一度使われた後でも再利用され、持続的に抗酸化作用を発揮することができます。

また、グルタチオンは他の抗酸化物質とも相互作用し、その濃度を維持する役割もあります。例えば、ビタミンCやビタミンEも抗酸化作用を持つ物質であり、グルタチオンと協力してより強力な抗酸化効果を発揮します。これにより、細胞の酸化ダメージを軽減し、細胞老化の進行を遅らせることが期待されます。

ヤマダ

「白玉注射」って聞いたことがありますか?これはグルタチオン注射のことで、グルタチオンの抗酸化作用で美白効果!と謳っている美容クリニックや皮膚科などがありますが、食品医薬品局(FDA)はこれに関して警告しており、グルタチオン注射による美白効果を評価した臨床試験はこれまで発表されておりません。

有害物質を取り除く解毒作用がある

グルタチオンは肝臓で働き、体内の有害な物質を取り除く解毒作用を持っています。肝臓では、特定の酵素であるグルタチオンS-トランスフェラーゼを使って、活性酸素や発がん物質などを除去します。しかし、現代の社会では、私たちが日常的に接する化学物質や毒素が増えており、肝臓の解毒能力を超える量になっています。その結果、グルタチオンの量が減少し、体内に毒素やダメージが蓄積する可能性があります。

免疫細胞は私たちを病気や感染から守る役割を果たしていますが、正常に機能するためにはグルタチオンが必要です。また、解毒酵素は体内の有害な物質を分解する役割を果たしますが、グルタチオンの存在がその働きを助けます。

例えば、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは、グルタチオンを必要とする解毒過程に関与します。しかしアセトアミノフェンを過剰に摂取すると、肝臓で生成される有害な代謝物質がグルタチオンを使い果たし、肝細胞を破壊することがあります。他の薬物でも同様の問題が起こる可能性があります。

グルタチオンは、キレーション療法の一形態であり、鉛や水銀などの地金属などの有害な物質を体内から排出するために使用されます。また、細胞内のミトコンドリアレベルでのデトックスにも効果があるとされています。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生産するために重要な役割を果たしており、遺伝子レベルでのデトックスは、細胞の健康維持にも重要です。グルタチオンにより貴金属などの有害物質の解毒を行うことにより、ビタミンB12の機能が回復し、神経細胞が活性化され、遺伝子修復が適切に行われます。

ヤマダ

キレーション療法は、特定の物質(キレーター)が薬剤として投与され、体内の有害な金属やミネラルと結合して、尿中に排出されることで体外に排出されます。鉛や水銀などの有害な金属の中毒や、動脈硬化症、心臓病、関節リウマチなどの治療に使用されることがあります。

免疫機能をサポートする

グルタチオンは私たちの体の中で働いて、私たちを病気や感染から守る役割を果たす免疫機能をサポートする大切な物質です。

具体的には、T細胞の正常な働きをサポートすることが挙げられます。T細胞は私たちの体内の敵と戦うために活性化されたり、細菌やウイルスを食べるために貪食する力を持っており、免疫機能の中心的な役割を担っています。しかし、グルタチオンが不足すると、T細胞の働きが低下してしまうため、免疫機能が弱まります。これによって、感染症やアレルギーなどの病気に罹りやすくなったり、治りが遅くなったりする可能性があります。一方、グルタチオンが適切な量であれば、T細胞が正常に働くことができます。これによって、体内の異物や病原体に対する免疫力が高まり、健康を維持することができます。

また、グルタチオンは、ストレスや病気、加齢などによって減少してしまうため、積極的に摂取することが重要です。食品やサプリメントからの摂取方法もありますが、日常生活でのストレス軽減や十分な睡眠なども効果的です。

ヤマダ

グルタチオンは、食品やサプリメントから摂取することもできますが、体内でも作られます。ただし、20歳代をピークに体内のグルタチオンは減少していきます。

タチオンとの違いは?

タチオンは、長生堂製薬が販売している医療用医薬品で、有効成分がグルタチオンであることから、グルタチオンと同じものとされています。つまり、グルタチオンとタチオンは、一緒の成分で、薬品名が異なるだけです。

化学物質過敏症はグルタチオンの枯渇が原因で発症する?

化学物質過敏症の正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、グルタチオンの枯渇が一因とされています。グルタチオンは、抗酸化作用や解毒作用を持つ重要な物質であり、細胞内での酸化ストレスや有害物質の排除に関与しています。しかし、環境の化学物質の多さやストレス、栄養不足などの要因により、グルタチオンの合成や再生が追いつかず、枯渇してしまうことが考えられます。

  1. フリーラジカルや酸化物質が細胞内で蓄積し、酸化ストレスが増加細胞や組織へのダメージが起こる可能性がある
  2. 有害物質や代謝産物が無害化されず、体内に蓄積する化学物質過敏症の症状が悪化する可能性がある
  3. 免疫機能が低下し、免疫応答が適切に行われなくなる化学物質過敏症の症状が増強される可能性がある

化学物質過敏症または慢性疲労症候群患者40名について、生体異物(注参照)に対する感受性の個人差を検査した。

90%以上の患者が、解毒の第一段階である酸化過程の亢進が認められ、患者は酸化的ストレス状態にあることを示していた。興味ある事に、殺虫剤に暴露して発症した患者は、健常者に比べてグルタチオン-S転移酵素π(GSTP1)の遺伝子の機能的変異が2.5倍高率に認められた。

慢性重金属中毒を示す患者ではグルタチオン-S転移酵素μ(GSTM1)遺伝子の欠損と、N-アセチル転移酵素-2遺伝子の軽度の変異が認められた。

一方化学物質曝露を受けていない患者では、解毒酵素の多型性は正常範囲内であった。

今回の結果は遺伝的な化学物質に対する感受性が、慢性疲労症候群や多種類化学物質過敏症の発症に関係していることを示している可能性が強い。

将来環境汚染物質に慢性に暴露している患者の確定診断に、解毒機構の遺伝子的解析が最適手段となるかもしれない。
注:体の中に入ってきた農薬(除草剤、殺虫剤)、ホルムアルデヒド、トルエン、有害金属などを意味する。

多種類化学物質過敏症および慢性疲労症候群患者の環境化学物質に対する遺伝的感受性の亢進
ヤマダ

グルタチオン-S転移酵素πは、グルタチオンを用いて、体内に存在する有害な化学物質を無毒化する役割を持つ酵素の一種です。

こちらは、化学物質過敏症や慢性疲労症候群の患者についての研究結果を述べています。殺虫剤に暴露して発症した患者に対して、特定の遺伝子であるグルタチオン-S転移酵素π(GSTP1)に機能的変異が2.5倍高率に認められたということです。これは、この遺伝子が化学物質の解毒作用に関与しているため、変異があると解毒作用が低下し、体内に異物が蓄積される可能性があることを示唆しています。健康な人たちに比べて、この遺伝子の変異率が高いことから、この遺伝子が化学物質過敏症や慢性疲労症候群の発症に関連している可能性があるとのこと。

グルタチオンの点滴と錠剤、サプリメントの違い

グルタチオンは点滴、錠剤、サプリメント、注射などの形で摂取することができますが、注射(高濃度を一気に注射)は、健常な方でも稀に体調不良になることがあるので、こちらでは省略します。

グルタチオン点滴

グルタチオン点滴は、生理食塩水100mlで薄めたグルタチオンを体内に直接静脈内に投与するものです。そのため、効果が比較的早く現れることがありますが、同時に肝臓や腎臓、心臓などの臓器に負担をかける可能性もあります。

グルタチオン点滴の濃度は、施術するクリニックによって異なりますが、一般的には600mgから3000mgの範囲で行われます。

なお、グルタチオン点滴に使用されるチューブは一般的に塩化ビニール(PVC)で作られています。このチューブは柔軟性があり、透明で扱いやすいため、医療用途に適していますが、このチューブには可塑剤としてフタル酸エステルが含まれており、一部の可塑剤には有害とされる物質、特にフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)も含まれている場合がありますので、注意が必要です。

グルタチオン錠

タチオン錠

グルタチオン錠は医薬品で、医師の処方箋が必要であることが多いです。タチオン錠50mgの主な副作用として、発疹、食欲不振、吐き気・嘔吐、胃痛などが報告されているため、注意が必要です。

タチオン錠50mgの基本情報(作用・副作用・飲み合わせ・添付文書)

ヤマダ

タチオン散20%もよく聞きますが、これは80%が添加物でできているため、避けられた方がいいかと思います。

グルタチオン錠剤はどこでもらえる?

病院に受診する、もしくは、「美容外科または皮膚科 グルタチオン 地域名」などで検索したら、美容用に自費で売ってくれる医院が出てきますので、ご確認ください。

グルタチオンサプリメント

グルタチオンのサプリメントは健康食品であり、健康維持や美容目的で使用されることが多く、医薬品としての効果を期待することはできません。

残念ながら、グルタチオンのサプリメントは消化管からほとんど吸収されません。ただし、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、シリマリン(マリアアザミに含まれる成分)やL-グルタミンを含む一般的な抗酸化物質のサプリメントは、日常的な摂取により血液や組織中のグルタチオンレベルを維持または上昇させることができるというエビデンスがあります。

Dynamic Chiropractic December 2, 2009, Vol. 27, Issue 25より、”Glutathione: The Body’s Master Detoxifier and Antioxidant”

グルタチオンの副作用

グルタチオンは一般的に安全で副作用が少ないと考えられています。しかし、一部の人には、食欲不振や悪心、嘔吐、発疹、過敏症、胃痛などの副作用が現れる可能性があります。

グルタチオンは、γ-グルタミルシステイン合成酵素と、グルタチオン合成酵素の2つによって段階的に合成される物質です。つまり、グルタチオン錠に含まれるグルタチオンは、人工的に合成されたもののため、不純物をわずかに含み、それが悪影響する場合も考えられます。

化学物質過敏症に対する具体的なグルタチオンの効果

ヤマダ

あくまで個人差はありますが、体感したもの、よく聞かれる声をご紹介します。

  • アナフィラキシーに効果あり
  • 呼吸困難時に効果あり
  • タバコに対する即時の反応に有効
  • 気管支炎と嗅覚に効果あり
  • 排気ガスに有効
  • 睡眠に効果あり
  • 脂漏性皮膚炎に効果あり
  • 疲労回復効果あり
  • タバコ成分や洗剤等化学物質の代謝にはほとんど効果なし
  • 塩素系樹脂類(車内のビニール系、食品ラップ)には効果なし

化学物質過敏症の治療にはグルタチオンの他にビタミン剤や漢方薬なども使用されていますが、いずれも抗酸化作用を期待して使用されているようです。グルタチオンの点滴は特に強い脱力感やそのために歩くこともできなくなるような急に症状がひどくなってきた時にレスキューとして使用する時の効果があります。かなりひどい症状でも1回の点滴で改善することもありますが、症状が長引いている場合はレスキューでなく、週に1~2回位をしばらく続けることもあります。

国立病院機構盛岡病院化学物質過敏症外来便り
ヤマダ

緊急時の使用も効果的です。

化学物質過敏症に対するグルタチオン摂取の注意点

  1. グルタチオン及び抗酸化物質を大量に摂取した場合、体内の毒素が急激に動き、心臓に負担がかかることがあります。化学物質過敏症の方々はこの影響に耐えられず、命を落とすこともあるので注意が必要です。
    出典:Reductive Stress Causes Pathological Cardiac Remodeling and Diastolic Dysfunction
  2. グルタチオンを2週間摂取しても効果がない場合、解毒剤としての効果が出ていない可能性があります。効果がある場合、改善は劇的に現れます。ただし、長期間にわたってグルタチオンを不適切に摂取することは推奨されておりません。
  3. サプリメントなどでのグルタチオン摂取時には、ぼんやりした感覚や平衡感覚の喪失、物にぶつかるなどの症状が現れる場合があります。これは摂取量が過多である可能性があるため、適切な量を見極める必要があります。
  4. グルタチオンの点滴や服用は、化学物質過敏症が初期段階の人には効果が大きいようですが、慢性的な症状に悩む人には効果が限定的なようです。急性中毒に対しては効果的ですが、慢性的な状態では効果が期待できないことがあります。
  5. グルタチオンにはグルタミン酸が含まれており、摂取することでグルタミン酸神経の過剰興奮を引き起こすことがあります。亜鉛やマグネシウムの不足や低血糖の状態では、グルタミン酸神経が敏感になっているため、イライラや頭痛、不眠などの症状が現れる可能性があるため注意が必要です。

グルタチオンを間接的に消費する?高濃度ビタミンC点滴療法にご注意!

一部の化学物質過敏症の方に有効とされている「高濃度ビタミンCの点滴療法」ですが、高濃度ビタミンC点滴は、ビタミンCを静脈注射することで体内への投与量を高める治療法です。この治療法によって、ビタミンCの濃度が一時的に非常に高くなります。

高濃度ビタミンC点滴療法がグルタチオンを間接的に消費するという主張は、一部の研究や理論に基づいています。詳しく説明します。

  1. 高濃度のビタミンCが体内に投与されると、ビタミンC自体が酸化される過程が起こります。この酸化反応によって、ビタミンCは酸化された状態となり、グルタチオンが還元剤として働き、酸化されたビタミンCを再び還元することがあります。この過程によって、グルタチオンが一時的に消費される可能性があります。
  2. グルタチオンは強力な抗酸化物質であり、酸化ストレスから細胞を保護する役割を果たします。一方、ビタミンCも抗酸化作用を持ち、細胞の酸化ダメージを軽減する働きがあります。高濃度ビタミンC点滴療法によってビタミンCの濃度が増加すると、ビタミンCとグルタチオンが連携し、より効果的な抗酸化能力を発揮することが期待されます。この過程によって、グルタチオンが間接的に消費される可能性があります。

生化学的代謝から考えると、ビタミンC(アスコルビン酸)の抗酸化力を示すと、グルタチオンを間接的に消費してしまいます。

参考:Wikipedia|グルタチオン-アスコルビン酸回路
参考:高濃度アスコルビン酸は酸化を促進し大腸ガン細胞のアポトーシスを誘導する

活性酸素に弱い、グルタチオンはじめ抗酸化酵素が少ないと考えられる化学物質過敏症の場合、高濃度ビタミンCによってグルタチオンが枯渇し、益々活性酸素に脆弱にならないかどうかが、問題です。

また、ごく一部のクリニックを除き、高濃度ビタミンC点滴は不純物・添加物が多く、防腐剤も入っているものがほとんどで、高濃度ビタミンCとひとえに言っても、オーガニック野菜と農薬や添加物まみれの野菜くらいの違いがあります。

不純物の入っていない、純粋な高濃度ビタミンC点滴以外のものは、対処ができない体の人にとっては毒でしかないのです。

グルタチオンの生成を促進するもの

ハーブ

Sトランスフェラーゼは、体内で働く特別な酵素の一種で、有害な物質を無害なものに変える役割を担っています。これはグルタチオンと結びつけることで、有害な化学物質や薬物、体内で生成される代謝産物などを無害な形に変え、体内から排出されやすくします。Sトランスフェラーゼは、肝臓や腎臓、腸管、皮膚などで見られ、体内の解毒システムの一部として重要な働きをします。

グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)活性誘導剤に関する特許が出願されていますが、これはグルタチオンSトランスフェラーゼの活性を向上させるための化合物や方法に関する特許です。

特許には、植物や化学物質がGSTの活性を誘導するという研究結果が記載されています。例えば、ローズマリー、ラベンダー、ミント、オレガノ、バジルなどのハーブがGST活性を促進するとされています。また、ウコンに含まれるクルクミンも注目されています。

出典:グルタチオンSトランスフェラーゼ活性誘導剤

ご自身に合うハーブを取り入れてみましょう。

サプリメント

体内でのグルタチオンの合成が促進され、グルタチオンのレベルが適正な範囲に保たれるためには、以下の栄養素を摂取することが推奨されています。本来であれば食事から摂るのが一番良いですが、食品から直接的にグルタチオンを摂取するのは難しいため、サプリメントの摂取を検討しましょう。

掲載しているサプリメントは実際に私やCS仲間が摂取しているもの(いたもの)です。個人差がありますので、参考程度になさってください。

また、全て海外製のものを掲載しております。日本製は中には良いものも存在しますが、海外に比べ添加物の規制が緩いため、蓋を開ければほとんど添加物・栄養はほぼない製品や、海外では使用禁止とされている添加物が含まれている場合があります。お選びになられる場合は、成分表示をよく読み、ご検討ください。

スクロールできます
サプリメント名特徴期待できる主な効果おすすめする人
マグネシウムミネラルであり、グルタチオンの合成に必要な酵素反応を促進する。グルタチオンの正常な合成と機能をサポートし、抗酸化作用を高める。また、ストレス緩和や筋肉のリラックスにも寄与する。・ストレスや疲労が多い人
・運動を積極的に行う人
・抗酸化作用を高めたい人
マルチビタミン複数のビタミンやミネラルを含むサプリメントで、グルタチオンの合成に必要な栄養素を補給する。グルタチオンの合成を促進し、抗酸化作用を高める。免疫機能やエネルギー代謝のサポートにも役立つ。・栄養バランスを気にする人
・免疫力をサポートしたい人
・健康維持を重視する人
N-アセチルシステイン(NAC)
システインの補酵素であり、グルタチオンの前駆体となる。
グルタチオンの合成を助け、抗酸化作用や解毒作用を高める。また、粘液の除去や肺の健康維持にも関与する。・高い抗酸化作用が必要な人
・肺の健康をサポートしたい人
・解毒効果を期待する人
α-リポ酸強力な抗酸化物質であり、グルタチオンの再生をサポートする。グルタチオンの機能を保護し、抗酸化作用を高める。また、血糖値の調節やエネルギー産生にも関与する。・抗酸化力を強化したい人
・血糖値の調節をしたい人
・エネルギー不足を感じる人
シリマリンマリアアザミ(ミルクイスル)の抽出物であり、抗酸化作用を持つ。グルタチオンの濃度を維持し、肝臓の解毒機能をサポートする。また、抗炎症作用や免疫機能の向上にも寄与する。・肝臓の健康をサポートしたい人
・解毒効果を期待する人
・免疫力を高めたい人
L-グルタミンアミノ酸であり、グルタチオンの合成に必要な成分の一部を提供する。グルタチオンの合成を促進し、抗酸化作用を高める。また、筋肉の修復や免疫機能の向上にも役立つ。・筋肉を鍛える人
・免疫力を強化したい人
・消化器の健康をサポートしたい人

詳しく見ていきましょう。

マグネシウム

マグネシウムはグルタチオンの合成や代謝に関与しています。グルタチオンの合成には、グルタミン酸、システイン、グリシンといったアミノ酸が必要ですが、これらのアミノ酸の代謝にはマグネシウムが必要です。マグネシウムは酵素の活性化や細胞内の化学反応の調節に関与し、グルタチオンの合成に必要な酵素反応をサポートしています。

また、マグネシウムが不足すると、グルタチオンの代謝や機能に影響を与える可能性があります。例えば、マグネシウム不足はグルタチオンの合成能力を低下させることがあり、それによって酸化ストレスや細胞の酸化ダメージのリスクが高まる可能性があります。そして、マグネシウム不足は細胞内の酵素反応や代謝プロセスを妨げることで、グルタチオンの代謝にも影響を与える可能性があります。

マグネシウムを適切に摂取することは、グルタチオンの正常な合成と機能に役立つため、取り入れられることをおすすめします。

成分その他
米粉、セルロース(カプセル)、 シリカ、ステアリン酸(植物由来)

ヤマダ

マグネシウムはお風呂に入れて経皮吸収されるのもおすすめです。

マルチビタミン

マルチビタミンは、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミン、ビタミンB群などの補酵素としての働きを含んだ複数のビタミンを組み合わせたサプリメントです。これらのビタミンは、体内で発生する酸化ストレスに対抗し、細胞や組織を守る抗酸化作用を持っています。また、ビタミンB群はエネルギー産生に関与し、免疫機能の維持にも重要な役割を果たしています。

マルチビタミンは、グルタチオンの合成にも関与します。ビタミンCやビタミンEはグルタチオンの再生をサポートし、ビタミンB群はグルタチオン合成のための補酵素として働きます。そのため、マルチビタミンの摂取はグルタチオンの正常な合成と機能に寄与することが期待されます。

成分その他
植物性セルロース(カプセル)、 デンプン、 マルトデキストリン、 植物性ステアレート、 リン酸二カルシウム、 シリカ、 微結晶性セルロース

N-アセチルシステイン(NAC)

N-アセチルシステイン(NAC)は、グルタチオンの合成において重要な役割を果たす化合物です。NACはシステインの誘導体であり、体内でシステインに分解されることでグルタチオンの合成に利用されます。システインはグルタチオンの構成要素であり、グルタチオンの合成にはシステインの供給が不可欠です。

NACは特に肝臓で活性化され、システインの供給源となります。NACは体内でシステインに変換され、システインはグルタチオンの前駆体であるγ-グルタミルシステインへと反応します。さらに、γ-グルタミルシステインはグルタチオンシンターゼという酵素によってグルタチオンに結合され、最終的にグルタチオンが生成されます。

したがって、NACの摂取によってシステインが供給されることで、グルタチオンの合成が促進されます。グルタチオンは体内の抗酸化作用や解毒作用に重要な役割を果たしており、細胞の保護や免疫機能の維持に寄与します。

さらに、NAC自体も抗酸化作用を持ち、細胞の酸化ストレスを軽減する効果があります。また、NACは粘液の生成を促進するため、気道や消化器系の粘膜の保護にも寄与します。そのため、NACは肝臓や腎臓障害に対して効果的であり、アセトアミノフェンの過剰服用によるグルタチオンの枯渇や肺疾患の治療にも役立ちます。また、重金属の除去や免疫低下による感染症にも効果があります。

成分その他
微結晶セルロース、 植物性コーティング、 二酸化ケイ素、 ステアリン酸Mg(植物由来)、 クエン酸

α-リポ酸

α-リポ酸は脂溶性の抗酸化物質であり、細胞内および細胞外で活性酸素種と呼ばれる酸化ストレス物質から細胞を保護する役割を果たします。α-リポ酸は体内で体液中や細胞内で発生する活性酸素種を中和し、酸化ストレスから細胞を守ります。また、他の抗酸化物質(ビタミンCやビタミンEなど)との相互作用により、それらの抗酸化物質を再生する働きも持っています。

α-リポ酸は前述したNACと同じようにグルタチオンの値を高めてくれます。しかもそれだけではなく、ビタミンCやビタミンEの再生を促進します。HIV感染患者では疾患の進行を遮断する効果があります。また、糖尿病や神経疾患にも効果があるとされています。

ヤマダ

猫を飼っている方はご注意ください。α-リポ酸は猫ちゃんにとっては毒となります。

成分その他
米粉、 ヒプロメロース(セルロースカプセル)、 ステアリン酸Mg(植物由来)、二酸化ケイ素

シリマリン

シリマリンは、マリアアザミやミルクシスルの種子から抽出される天然の物質であり、主成分はシリビニンと呼ばれるフラボノイドです。シリマリンは肝臓の保護効果や抗酸化作用があることで知られており、肝臓における酸化ストレスや炎症を軽減し、肝細胞を守ることによって肝機能の維持や回復を促進します。

シリマリンはマリアアザミから抽出される成分で、肝臓疾患の予防と治療に効果があります。健康な人々の50%以上が、シリマリンによって肝臓でのグルタチオンが35%以上増加します。

Kiruthiga et al., (2010). Silymarin protects PBMC against B(a)P induced toxicity by replenishing redox status and modulating glutathione metabolizing enzymes–an in vitro study. Toxicology and applied pharmacology, 247(2), 116-128. doi: 10.1016/j.taap.2010.06.004
シリマリンサプリメント

主要成分
オオアザミエキス(オオアザミ)(種子)(80%シリマリンに標準化)、タンポポエキス(モウコタンポポ)(根)、アーティチョークエキス(チョウセンアザミ)(葉)、ターメリックエキス(ウコン)(根茎)、ショウガ粉末(ショウガ)(根茎)、ブラックペッパーエキス(コショウ)(果実)(ピペリン95%に標準化)

その他の成分
変性セルロース(ベジカプセル)、二酸化ケイ素(シリカ)、ステアリン酸Mg(遺伝子組み換えでない植物由来)

L-グルタミン

L-グルタミンとグルタチオンは、両方ともグルタミン酸を含んだ物質ですが、異なる役割と機能を持っています。

L-グルタミンは、アミノ酸の一種であり、身体の細胞や組織のエネルギー源として重要な役割を果たしています。特に腸壁細胞や免疫細胞などの高エネルギー需要のある組織で多く利用されます。また、筋肉の修復や再生にも関与し、運動パフォーマンスの向上にも寄与します。

L-グルタミンはグルタチオンの合成において重要な前駆体として、機能することがあります。グルタミン酸からL-グルタミンが合成され、その後、システインやグリシンと反応してグルタチオンが生成されます。

L-グルタミンの補給により、N-アセチルシステインとグルタチオンの結合を増強させることができます。これにより、化学療法や下痢止め薬による胃腸のダメージから保護されます。L-グルタミンは免疫機能の向上にも役立ちます。

Dynamic Chiropractic December 2, 2009, Vol. 27, Issue 25より、“Glutathione: The Body’s Master Detoxifier and Antioxidant”

成分その他
米粉、セルロース(カプセル)およびステアリン酸マグネシウム(植物源)

食品からグルタチオンを摂取する

ホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール、クレソン、パセリ、キュウリ、カボチャ、トマト、サヤエンドウ、ソラマメ、エノキタケ、松葉、豚レバー、牡蠣、アボガド、トマト、小麦粉、お米、ニンニク、玉ねぎ、アスパラ、オクラ、グレープフルーツ、オレンジ、レモン、ストロベリー、パプリカ、卵、乳製品、大豆、ナッツ類など。

これらの食品をバランスよく摂取することで、グルタチオンの合成をサポートすることができますが、食品から直接的にグルタチオンを摂取するのは難しいため、身体が必要な量を生成するために必要な栄養素を摂取することが重要です。

さいごに

化学物質過敏症の症状軽減に役立つとされるグルタチオンは、その研究さえほとんどなされておらず、臨床医が手探りで使用している状況です。研究して然るべきである厚労省がそれを調べもせずに、効果に懐疑的な文言を報告書に載せるなんて、言語道断です。ただでさえ臨床医は日々の業務で忙しく、研究する暇なぞありません。早急な対応を願いたいものです。

参考:科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)|厚労省

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