2017年2月22日|第193国会 予算委員会第六分科会 第1号|化学物質過敏症患者への配慮を要求した高橋千鶴子議員(共産党)の答弁

CSに関する答弁

○高橋(千)分科員

日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、化学物質過敏症について、山本環境大臣初め各省庁に質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 化学物質過敏症、CS、あるいは多種類化学物質過敏症、MCSは、通常では問題にならないような低濃度の化学物質に過敏に反応して、頭痛、目まい、気分不良、倦怠感、脱力、体の痛み、腹痛、下痢、うつ症状、集中力低下、記銘力障害など多臓器の症状を繰り返し起こし、重症化すると、日常生活はおろか仕事や学業など社会的活動が困難になるとされています。

 原因物質は人によってさまざまで、また、複数持っている方も多くいらっしゃいます。重症な場合は自宅から一歩も出られない、何度も転居を余儀なくされるなど課題も多く、各省庁にまたがると思っています。

 そこで、まず大臣、化学物質過敏症についての認識と、現状、環境省が取り組んでいることをお伺いします。

○山本(公)国務大臣

いわゆる化学物質過敏症については、その病態及び発症メカニズムについて未解明な部分が多く、医学的に確立された定義や診断基準が存在していないものと認識いたしております。

 このため、環境省では、環境を経由する化学物質過敏症を中心に、国内外の調査研究等に関する知見の収集を進めてきたところでございます。

○高橋(千)分科員

今のメカニズムが不明でまだというところ、何年もこの状態にとどまっているんです。それで、研究を重ねてきてくださった。私は、きょうは、それをもっと前に進めたい、そういう思いで質問させていただきます。

 まず、CSは、既にレセプトに記載できる病名リストには登録されていると承知をしています。厚労省に伺いますが、医療保険ではどのような扱いになっているでしょうか。また、専門外来などはどの程度あると承知をしているか、お願いします。

○谷内政府参考人

まず、私の方から保険適用の質問についてお答えいたします。

 化学物質過敏症の症状といたしまして、痛み、かゆみなどの症状が患者にあり、それに対して行われました治療について医学的に妥当性が認められる場合、医療保険が適用されることになります。

○橋本政府参考人

それでは、専門外来の数についてのお尋ねがございましたので、私の方からお答えさせていただきます。

 いわゆる化学物質過敏症は、多様な症状を示すけれども、その病態は不明な点が多いという状況でございます。

 専門外来というお尋ねでございますが、これは、疾患に対して専門的に医学的な相談や治療を行う外来の医療機関、そのように認識をいたしますが、化学物質過敏症の場合、病態が不明な点が多うございまして、診断基準も確立されていない、そういう状況でございますので、そのような中で、化学物質過敏症を専門的に治療する専門外来の数、これを把握することは現時点では困難でございます。

○高橋(千)分科員

言ってみれば、治療は対症療法ですよね。そのとき痛ければ痛みどめとか、かゆみにはかゆみどめとか、そうしたものに対して診療報酬は出ているという趣旨だったと思うのと、診断基準が確立をしていないので、専門外来は把握をしていないと。私は、これは把握してほしいという立場で今聞いております。

 専門外来の先駆けは、北里研究所病院に臨床環境医学センターが設置されたことから始まっているのかなと思っております。その後は、国立病院のアレルギー科を有する病院が数カ所、専門外来を設けられたと承知しています。

 国立病院機構盛岡病院には、二〇〇二年十二月に化学物質過敏症外来が設置され、二〇一六年三月の時点で初診患者は五百名を超え、通院継続患者は約二百名といいます。東北各県はもとより、関東、関西、北海道、四国と、全国から集まっているんです。

 この専門病院、盛岡病院の専門医である水城まさみ医師は、CSが保険診療となっていないために不採算部門であること、だから外来を広げることができないわけですね。専門医が非常に少ないこと、疾患に対する社会的認知度が低い、そして、医学、看護教育の中でも取り上げられる機会が少ないと具体的な課題を示しております。

 ただ、こうした貴重なデータを重ねている専門外来はあるわけですから、厚労省としても、全容をつかみ、実態把握をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○橋本政府参考人

お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、いわゆる化学物質過敏症は、多様な症状を示しますけれども、その病態については不明な点が多うございます。

 私ども厚労省といたしましても、化学物質過敏症の治療に取り組んでいる医療機関があるということは承知しておりますし、インターネットで見ましたところでは、先ほど先生が名前を挙げられたような医療機関などもそういった治療に取り組んでいるということが実態としてうかがえるところでございます。

 ただ、そもそも、化学物質過敏症、病態が不明な点が多うございまして、確立した診断基準も治療法も存在しないということでございますので、いわゆる各専門外来の実態の把握をするのは、繰り返しになりますが、現時点では困難というふうに言わざるを得ないと思います。

○高橋(千)分科員

診断基準が不明だと。不明だからこそ、把握しなかったら、今現実に起こっている患者さんがどういう症状なのか、あるいはどんな治療、確立していない中でどんなことをやっているのか聞かなきゃいけないじゃないですか。でなかったら前に進まないんです。

 これは、やりとりをしたときに、どこも、うちじゃない、うちじゃないみたいな議論になるわけなんです。そのときに、そんなに要望がないですからと言われました。そこが問題なんですよ。なぜかというと、最初に言ったように、この病気が外に出ていけない病気だから。だから、誰からも要望がないですよと、それで済まないわけです。

 現実に起こっている、そして治療している方がいる、そのことを、今、インターネットでも調べましたと言ったんですから、注目していただける、そのくらいお答えいただけますか。

○橋本政府参考人

委員おっしゃいましたように、患者の方々が、日々の暮らしの中でいろいろな御苦労をされているということは私どもとしても承知いたしております。

 私どもとしても、可能な範囲でいろいろな知見を収集してまいりたいと思っております。

○高橋(千)分科員

それで、資料の一枚目を見ていただきたいと思います。

 これは、いわてCSの会が昨年行ったアンケートであります。これは、残念ながら全部読む時間がないので、大臣もぜひ見ていただきたいと思うんですね。

 どんなことに今困っているのか、普通に暮らしている我々が気づかないことがいっぱいあるわけですよね。買い物に行くことが困難だったり、介護をすることが、逆にいろいろな、洗剤ですとかそういうものに触れなきゃいけない、そういうことが困難であるとか、あるいは選挙に行くこと自体ができないんだとか、そういうことが書いてあります。

 それで、このアンケートを見ますと、実は、四十代、五十代になってから、つまり働き盛り、その最中に発症している方が結構多いんです。そして、グラフにもしてみましたが、自宅にいてもつらい、反応が強く外出や他人と会うことがつらい、就労、通学が難しいなど、外に出ることができない方が合わせて八四%にも上るんです。

 日常生活の妨げになっているものは、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、あるいは合成洗剤、柔軟剤、化粧品、アロマ、芳香剤、たばこ、ワックスなど。日常生活にあるありふれたものが、患者さんにとってはまさに毒であったり苦痛の源である。それを知ってもらうことが、まず最初の出発点だと思うし、負担がそれだけでも軽減されるんです。

 アンケートの中で、認知、広まったという声も結構ありました。例えば、現在五十八歳の方が発症したのは十歳だった。当時は専門医もなく、病院で検査を受けても異常なしと言われ、父親からは、怠け者と言われて、びしっと平手打ちをされた。でも、今は、親御さんに付き添われて外来に来る方を見て、別世界になったな、こう言っているんです。ほかにも、CSのことを町の人に知ってもらえた。隣の人にCSの情報を渡したら、理解してもらって、殺虫剤の使用をしないようにしてもらった、こういう声が上がっております。

 そこで、内閣府に伺います。

 障害者差別解消法が昨年四月に施行されました。基本方針には、対象となる障害者は、障害者基本法第二条第一号に規定する障害者、すなわち、身体、知的、精神、発達障害を含む、その他の心身の機能の障害がある者とし、それだけではなくて、社会におけるさまざまな障壁と相対することによって生ずるもの、いわゆる社会モデルの考え方を踏まえていると明記をされています。

 この考え方に立てば、当然、化学物質過敏症の方も対象となると考えてよいでしょうか。

○小野田政府参考人

お答えいたします。

 障害者差別解消法では、同法で規定する障害者につきまして、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害を含みますが、その他の心身の機能の障害がある者であって、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義してございます。

 化学物質過敏症の方につきましても、それを原因とする心身の機能の障害が生じており、かつ、当該障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあると認められる場合は、障害者差別解消法で定める障害者の対象になり得ると解してございます。

○高橋(千)分科員

確認をいたしました。

 そこで、強く要望されているのが、災害時の避難なんですね。例えば、熊本地震で被災したCS患者さんは、家はどうにか残ったものの、避難する場所もなく、町じゅうが工事で空気が悪く、修理もできない、お手上げと訴えています。避難所に入れないのが共通の悩みなんです。

 そこで、もう一度内閣府に伺いますが、二〇一四年の災害対策基本法の改正で、避難行動要支援者名簿を活用することになりました。ここにも、「高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」とある。その他の部分は市町村に任せられていると承知をしています。

 ということは、化学物質過敏症も参照例示するなどして、避難支援をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○緒方政府参考人

お答えいたします。

 平成二十五年六月の災害対策基本法の改正によりまして、避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務づけとなってまいりました。

 この避難行動要支援者につきましては、この法律におきまして、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者のうち、「災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの」とされており、具体的には、名簿を作成する市町村において判断することになっております。

 その判断に当たりましては、情報の取得能力、避難の判断能力、身体能力に着目することが想定されておりますけれども、内閣府におきましては取り組み指針を作成しておりまして、その中で、真に支援が必要な方が対象から漏れないようにするため、きめ細かく要件を設けるように求めており、要件から漏れた者がみずから避難行動要支援者名簿への掲載を求めることができる仕組みについても例示をいたしております。

 いわゆる化学物質過敏症の方かどうかに限らず、災害時に真に避難支援を必要とする方が避難支援を受けられることが大事でございますので、そのために指針の周知などを通じまして、取り組みの促進を図ってまいりたいと考えております。

○高橋(千)分科員

消防庁の昨年十二月に発表した調査によりますと、名簿を作成した千四百六十市町村のうち、その他で採用しているのが六一・八%、みずから掲載を希望した方が六〇・五%ということで、今答弁にあった、みずから手を挙げているという方も採用されているということで、大いにこういう事例があることを奨励していただきたいなと思います。

 それで、昨年四月に改定した避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針には、要配慮者に対する支援体制としてのスペースあるいは個室の確保ですとか、在宅避難の方に対する安否確認なども明記をしております。こうした中にも、やはり避難所に行けない、そういう過敏症の方がいるということも考慮すべきだと思うんですね。

 ここで提案なんですが、例えば、熊本地震で注目されたトレーラーハウスを活用してクリーンルームをつくるなど、研究すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○緒方政府参考人

お答えいたします。

 避難生活におきまして、特別な配慮を必要とする高齢者、障害者等の方々にとってできる限り負担が少ない環境を整えるために、福祉避難所の確保を図ることが重要と考えております。

 要配慮者に対しましては、あらかじめ指定されました福祉避難所のほか、旅館やホテルを福祉避難所として活用することを可能といたしておりまして、熊本地震では、旅館やホテルのほか、益城町におきまして、トレーラーハウスを福祉避難所として活用された、そういったふうな事例もございます。

 化学物質過敏症と診断されている方を含めまして、健康上の理由から一般の避難所での生活に支障がある場合につきましては、被災自治体が適当と判断する方法によりまして福祉避難所を確保し、滞在していただくことが適切と考えております。

○高橋(千)分科員

ですから、私がこれという確定的な言い方はもちろんできない、それぞれ自治体が工夫をする必要があると思うし、福祉避難所が、例えば、そのパターンの一つとしてクリーンルーム、空気清浄機ですとか特別な装置を備えたものを別個、トレーラーハウスとして用意するですとか、そういういろいろな応用はあり得ますねということを聞いているんです。一言だけ、イエスかノーかで。

○緒方政府参考人

被災地、いろいろと制約が多い中ではございますけれども、要配慮者の方々にできる限り負担の少ない環境を早期に提供させていただくことが大切というふうに考えております。その観点で、時々の状況に応じまして、被災自治体と連携いたしまして適切に対応していきたいと考えております。

○高橋(千)分科員

ぜひお願いいたします。

 そこで、今度は厚労省に伺うんですが、難病でもなく、障害者でもなく、理解されにくいために苦しんでいます。

 先ほど紹介したアンケートの中に、こんな言葉がありました。発症して一年三カ月が過ぎました。昨年の日記を見ると、毎日のように、息苦しさや胸部痛、就寝中の汗などで大変な日々でした。ことしはどうなるかという不安で、その日を迎える毎日です。

 問題は、こうした患者に、うつ症状があるとして、向精神薬が投与されている例が多いわけです。同じアンケートによると、十九名中十一名が投薬を受け、症状が改善したとする方は四名、そのうち三名が不眠、こういう例が多いと思うんですが、他の症状も出たなど、投薬で悪化した方は一名、ほかに九名が薬を減らしていました。

 こんな方がいます。アレルギー科に、シックハウス症候群ではないでしょうかと尋ねたら、そんなことを言うなら私は診ません、精神科へ行ってくださいと言われた。結局、精神科に行くと薬は出たんです。でも、これでいいんでしょうか。

 不眠やパニック障害などの症状があっても、でも、その原因物質があるかもしれない、それによる行動や生活の制限や孤独や経済的困難など、要因があるんだということをしっかり見て、向精神薬に頼った治療にならないようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○馬場大臣政務官

お答えします。

 一般に、患者の治療に対しましては、その病態や患者の置かれている状況を考慮した上で適切に行われることが必要であると認識しております。

 化学物質過敏症の患者につきましては、議員御指摘のとおり、患者の状況によって向精神薬の処方が適切な場合もあれば、適切でない場合もあるというふうに考えます。化学物質過敏症は病態もさまざまであることから、より一層、患者の病状や病態を適切に確認して治療に当たる環境が実現できるよう目指してまいりたいと存じます。

○高橋(千)分科員

ありがとうございます。

 適切でない場合もあるとおっしゃっていただきました。

 実は、環境省の委託研究の中で、やはり、ずっと調べてくださっているのはありがたいんですが、精神疾患との関連性が強く指摘されていて、八七%だと。

 確かに症状はそうなんです。だけれども、どこに原因があるのかということをちゃんと見ないと、やはり、今言ったように適切でないことになるわけですよね。なので、さっき紹介した国立盛岡病院の水城医師は、やはり、そういう症状に対してCSに理解のある心療内科や精神科医の介入が功を奏することがあると述べているということも重要だと思います。ぜひ、専門家を育ててほしいし、これは、環境、厚労両方に要望したいと思います。

 そこで、簡単にお答えください。

 障害年金は、傷病名にかかわらず、状態に応じて給付が決定されます。化学物質過敏症患者でも状態によっては受給できる、そういうことがあると思いますが、確認させてください。

○伊原政府参考人

お答え申し上げます。

 障害年金は、病気やけがによって一定の障害の状態になり、生活や仕事などが制限されるようになった場合に給付されることとなっております。

 御指摘の化学物質過敏症の方も、その障害の状態によって日常生活が著しい制限を受けるなどの状態にあると認められ、障害年金の等級表に定める障害の状態に該当する場合には年金が支給されることとなります。

○高橋(千)分科員

ありがとうございます。

 大変な中でも、しかし、助けになる制度はあるんだということで、一つ一つ確認をしてまいりました。

 もう一つ、資料の二枚目につけてあるんですけれども、生活保護の住宅扶助基準が昨年七月、冬季加算は昨年十一月から引き下げになりました。しかし、実施要領によりまして、これはその一部をつけていますけれども、傷病、障害等による療養のために外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者または乳児が世帯員にいることが確認できれば、地区別冬季加算額の一・三倍の額を認定して差し支えないとあります。この資料はQアンドAであって、差し支えないという答えが書いてあるのをつけておきました。

 やはり、さっきから言っているように、外出困難な方が、外に出ることで反応してしまうということで出られないでいる方、そういう方も当てはまると思いますが、いかがでしょうか。

○中井川政府参考人

お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘の特別基準につきましては、常時在宅せざるを得ないことにより暖房使用時間が特に長くなるような事情がある場合に認定できるということになってございまして、今委員御指摘のとおり、具体的には、重度の障害者や要介護者のほか、医師の診断書等により、傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない状態であると保護の実施機関が認めた者としており、これに該当するかどうかは、一義的には実施機関の個別の判断によるということになります。

○高橋(千)分科員

ですから、確認をしただけですので、今言ったように、外に出ることによって反応してしまうから、出られないでずっといる方たちがいるんです。

 当然、特に岩手などは非常に暖房費もかかる地域でもありますし、それで、現実に、診断書をもらって、冬季加算を一・三倍いただいた方もいらっしゃいます。でも、ほとんどが知られておりません。ですから、こういう場合があるんだということを知らせていくことは大事だなと思って質問させていただきました。

 こうした場合もあり得るということで、確認させてください。一言、はいとお願いします。

○中井川政府参考人

今申し上げましたとおり、傷病等のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ないということにつきまして、医学的知見に基づいて、診断書に基づいて実施機関が個別に判断すれば、御指摘のとおりでございます。

○高橋(千)分科員

ありがとうございます。

 それで、こうして今患者の会のアンケートや寄せられた声をもとに質問を進めてきたんですけれども、驚くことに、二〇〇五年には、日弁連が化学物質過敏症に関する提言を発表しておりました。保険適用の問題から、きょうは時間の関係で取り上げていないんですが、学校での対応の問題、あるいは、空気のいいところに住まなきゃいけない、だけれども、行った先でまた何か起こるということで、引っ越しを転々とする方もたくさんいらっしゃいます。そうしたことで、転地療養に対する支援ですとか、今読んでも極めて新しいことを提言しているんですね。でも、言いかえれば、十二年たってほとんど進展していないということになるのかなと思うんです。

 そこで、山本大臣に、今まで聞いていただいたんですけれども、要望を込めて質問をいたします。

 まず、化学物質過敏症という患者がいることを認識するということが一つ。そして、述べてきたように、専門外来は少なく、まだまだ広く社会的には認知はされていません。あるいは、名前は知っているけれども、理解が広がっているとは言えません。相談の窓口をまずつくっていただきたい。当然、多くの省庁にまたがりますので、それは連携、そのためにも窓口が必要だ。関係する法令もさまざまです。そういう立場で、窓口をつくって、環境省がそのまとめをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣

いわゆる化学物質過敏症については、その発症メカニズムについて未解明な部分が多く、また、化学物質の暴露経路は一般環境経由に限らず、さまざまなルートが存在するものと考えられます。

 こうした状況の中で、一元的な窓口を設けることは困難でありますけれども、環境省としては、御相談を受けた際に必要に応じて関係府省と情報の共有を図るなど、可能な範囲で連携をとりながら対応してまいりたいと思っております。

 きょうは高橋先生の御質問を伺いながら、化学物質過敏症、大変深刻な状況になっているなということを感じました。

○高橋(千)分科員

ありがとうございました。

 ぜひ、これを踏まえて連携を、まず必要だということを認識していただいたので、お願いをしたいと思います。

 それで、最後に、もう時間がないので言い切りにしますけれども、化審法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、五年目の改正が今国会に付されると聞いております。

 資料の三枚目につけておきましたが、二〇二〇年までに、化学物質による人の健康、そして環境への影響を最小化しようというヨハネスブルク・サミットで合意された内容の達成を目指していると言います。だけれども、二〇二〇年は目の前なんですが、資料をつけておいたように、新規化学物質の製造、輸入はふえています。また、事前審査の特例である少量新規化学物質の製造、輸入について、今までは総量規制で国内一トンだったものを各社一トンに緩和するという議論がされております。そのことによって、経産省的にいいますと、経済規模が二千七百九十億円だから、利益が八百六十一億円も損失している、こういうことを言っているわけなんです。国際競争に勝てない。

 だけれども、一方では、こうしたまだ標準医療にもたどり着けない方が七十万、百万人、もっといるかもしれないと言われている現実をちゃんと見なければ、この法律は環境省共管でございますので、厚労省も共管でございます。ですから、人の健康や環境を犠牲にした成長ではいけないと思いますから、やはり環境省は規制の側ですから、リスクを最小にするためにこそ努力をしていただきたい、このことを強く要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

引用:国会会議録

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